ヘンリー・パーセル 組曲第1番 ト長調 Z.660

今回はヘンリーパーセルの組曲第1番ト長調を紹介します!
Purcell, Keyboard Suite No. 1 in G Major Z. 660
楽譜はこちらからご覧になれます。
Suites, Lessons and Pieces for the Harpsichord (Purcell, Henry) – IMSLP/ペトルッチ楽譜ライブラリー: パブリックドメインの無料楽譜

パーセル

 ヘンリー・パーセル(1659-1695)は、36年という短い生涯のうち、800曲以上残した、イングランドの作曲家です。イングランドの作曲家としては、200年後にエドワードエルガーが現れるまで、国内外で高い評価を得た最後の作曲家とされていました。
 パーセルはオペラ、イングランド国教会の礼拝のための曲(アンセム)、ヴァージナルのための曲などを作曲しています。16世紀後半にエリザベス朝時代が始まると、小型チェンバロのヴァージナルを使った作品が数々生み出されます。パーセルは、その時代から100年経った後の時代の作曲家です。
 16世紀~18世紀初頭のイギリスは、国王を頂点とするイングランド国教会という宗派の誕生と、確立の時代だったのです。当然、新しい宗教を作ったため、新しい礼拝方法などの検討がなされます。新しい儀式確立に伴って、宗教音楽が誕生しました。パーセルのアンセムは現役で愛されており、2022年にエリザベス2世の国葬でも演奏されていました。

組曲第1番の聴きどころ

 組曲とは、いくつかの速度や拍子の違う曲を集めて、1つの作品とするものです。パーセルの時代の組曲は、いくつかの舞曲を集めて1つの作品とするものが主流でした。組曲第1番は、4つの曲が集められています。

  1. Prelude (プレリュード、序曲)
  2. Almand (アルマンド、ドイツ風舞曲)
  3. Corant (クーラント、フランスの爽快な舞曲)
  4. Minuet (メヌエット、フランスの小さいステップが特徴の舞曲)

 全体を通して4分程度の、とても短い作品ですが、その分違いがはっきりと分かって面白いとも言えます。まずは、この曲同士の違いをお楽しみください。

 また、この曲を聴くと、私は可愛らしい印象を持ちます。その理由としては、メロディが比較的高音域を使用して書かれており(メロディの音が全体を通して高い)、同時に鳴らす音数が基本3音で、全体的に軽い印象を持ち、ト長調で明るい響きがメインであるためだと考察しています。これは文章で表現しても全く伝わらないことだと思いますので、是非聴いて確かめてみてくださいね!

学生時代に、群馬大学メサイア管弦楽団・合唱団でチェンバロに出会ったことをきっかけにチェンバロを始めました。現在は地域を超えて様々な人にチェンバロの魅力を届けられるよう研鑽に励んでいます。

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